弁護士 奧野舞のブログ

弁護士法人シティ総合法律事務所(http://www.city-lawoffice.com/)

【医業】対応が難しい入院患者等の対応について②

【Q】入院後の患者や入所者とのトラブル回避のため、院内・施設内で整備しておくべきものはありますか。

 

【A】

長期・短期にかかわらず、入院・入所者を施設に入れる場合の契約書・重要事項説明書・ガイドラインについて改めて考えてみました。

 

通常、入院時等の契約書は各病院でひな形が決まっていて、実際に患者等がこれを用いて入院する際には、そのままそれに従って締約、となっていることがほとんどであると思います。

 

一般的な民間での契約と大きくことなるところは、医師側に認められている「応招義務」の問題があり、患者の病状によっては受け入れ段階での契約締結の拒絶が自由にできないことです。

 

前回の記事でも説明しましたが、患者等に問題行動があり、応招義務を超えて「正当な理由」があると判断される場合には、法的根拠にむずびつけて、「〇〇といったことを行って医師・看護師等その他従業員の法的利益を害する事実が発生した場合には、一方的に入院契約・入所契約を解除することができるものとする。」といった形で、病院・施設側の立場を明らかにしておく必要があります。

 

一方的解除の根拠となる事実については、前回の記事で説明したような、暴力・暴言など、法的利益の侵害に当たる行為です。例示列挙で、問題行為の典型的な類型を挙げていく方法で契約書を作成することが多いと思います。

 

問題行為の累計によっては軽微なもの(たとえば、従業員に対する非難「と思われる」言葉を発するも、直接的・明示的なものではない、など。)もあるので、一方的な解除を認める条項をあまりに形式的に適用しないよう、内規や内部研修等で従業員に周知しておく必要があります。

 

一方的解除の内容について、重要事項説明書にも記載して契約書と別途患者側への説明の機会を設けるかどうかは、医業経営者側の判断となりますが、契約書の中で特別に患者側の了承を得たことを書面化しておくべきポイントにしぼって、抜粋して説明し、署名・捺印をもらうことで、紛争時に病院側を守る材料となります。

 

また、ガイドラインは、外部に公開するものとして利用されている方も少なくないと思いますが、病院・施設側としての理念の明示とともに、「当院を利用される患者様において、〇〇・・・といった行為があった場合には厳正に対処するとともに、警察への通告、民事訴訟の提起等の手段を選択します。」「・・・という場合には一方的に契約を解除いたします。」といった形で、ホームページなどで明示しておくことで、紛争発生時に病院側の立場を支える根拠の1つとなります。