弁護士 奧野舞のブログ

弁護士法人シティ総合法律事務所(http://www.city-lawoffice.com/)

【医業関連】<Q&A>病院内での暴力や暴言に対する対処②

<Q>

あるクリニックでは,とある患者が医師の治療方針に反感を持ち,来院時に医師・看護師に暴力を振るっただけでなく,帰り際,待合室で大声で「お前の病院のことを,ネットで散々拡散してやるからな!」と叫んで帰っていきました。

 

後日そのクリニックでは,暴行を働いた患者について警察に通報して対処し,刑事事件としての処分が確定しました。

その後,その患者は,警察に通報されたこと自体に腹を立て,怒りがおさまらない状況の中,インターネットの病院・クリニック口コミ掲示板に,「◎◎クリニックの院長と看護師はデキていて,院内でわいせつなことを毎日している,とんでもないところだ。」などという書き込みを行いました。

 

クリニックのスタッフは,たまたまこの書き込みを見つけて院長に報告しましたが,この件について再び警察に通報して毅然と対応すべきか,また逆恨みでエスカレートするくらいなら,口コミサイトの投稿の削除要請だけをして静観しておいた方がよいのか,対応に困っています。

このようなトラブルを将来に向けて回避するための対策は,考えられないでしょうか。

 

<A>

いくつか方法は考えられますが,

①110番通報の実績公表をすること,

②暴力暴言などに対する病院・クリニック内の規則を制定し,建物内に掲示したり,診療契約書に明記する,という方法があります。

 

①について

最近では,クリニックがインターネットの口コミサイトで根も葉もないことを投稿されたりといった事案も多く,こうした迷惑行為を全てを防ぎきれるわけではありません。

 

しかし,クリニックのホームページや広報誌で,過去の通報実績として,具体的に迷惑行為に対処したレポートを載せたり,「110番通報◎件,刑事告訴◎件,民事訴訟提起◎件・・・」といった情報を載せることで,当該クリニックが,迷惑行為などに適切・誠実に対応している信頼のおける医療機関であることをアピールする,ということも1つです。

 

近年,ホームページを充実させたり,広報誌を患者に配布したりと,それぞれのクリニック運営の工夫がなされている様子をよく見かけます。

こういった広報手段は,クリニックのスタッフ紹介や,クリニックの特徴などの情報を患者らにオープンにすることに加えて,不要なトラブル防止の姿勢を見せる場としても,活用の余地があると考えます。

 

②について

病院やクリニックには,当該施設の管理責任者として施設管理権がありますから,この管理権にもとづいて,暴言・暴力があった人に退去を求めることが可能です。

これをもとに,たとえば,暴言・暴力のいくつかの典型的なケースを例示して,「下記のよう暴力行為・暴言を行った方には,当院より強制的に退去を求めることができる。」・・・といったような院内規則を作り,待合室に掲示しておくことが考えられます。

これを行ったからといって,全ての迷惑行為を避けられるわけではないのかもしれませんが,クリニック等が迷惑行為に毅然と対応するときの「指針」になりますし,医師・看護師・その他スタッフも,迷わず適切な対応ができるという意味で,こういった院内規則をしっかり頭に入れておくことも必要であろうと思います。

 

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