弁護士奧野舞のブログ

弁護士法人シティ総合法律事務所(http://www.city-lawoffice.com/)

【医業】<Q&A>患者側への連絡事務に関する責任

<Q>

外来に来た患者さんについて,生体検査等を実施した後,その結果を通知できずにそのままになってしまった場合は,どのような対応が必要でしょうか。
約束した日時に来なかった患者さんがいた場合,どこまで病院・クリニック側から通知義務を果したらよいのか,分からない。

<A>
患者側が何らかの病変を疑って病院に検査を依頼している以上は,「検査結果が出た時点ですぐに教えてほしい」という意思があることは事実上否定できないと思います。

他方で,診療契約上の義務の一部として,検査結果について速やかに通知を完了する義務を法律上認めることが出来るのかは,裁判例で明確なルールが示されているわけではなく,ケースごとによって判断は変わるとしか言いようがないのが実情です。


ただし,仮に,実施した検査で患者に悪性腫瘍の疑いが見つかり,それが患者本人又はその家族に一定期間遅れて伝わったともなれば,後々になって患者側から「早期に検査結果を知っていれば,病変から間を置かずに治療に専念できたはずだ。そうすれば,結果的にもっと軽い症状で治癒できたはずだ。」というような形で,病院側が責任追及をされてトラブルに発展してもおかしくありません。
病院側の法的責任が発生するかは,「患者側が,どういった趣旨で生体検査等を依頼していたのか」という状況にもよると思われます。

 

そして仮に,病院側が検査結果を早期に患者側に連絡しなかったことについて責任ありと考えられるケースであっても,病院と患者側の連絡システムがどのようになっていたのか,実際の病院側と患者との連絡状況によっては,患者側にも相応の落ち度があったものと判断される可能性もあると思います。

(患者側が受診予約を複数回無断で破っていた,音信不通になっていた,など。)


無用な紛争回避のためには,検査結果を受けて,将来的に当該患者に自院・他院での早期の治療が必要であると認められるケースであれば,電話や郵便等で患者の連絡先に複数回連絡を試みることは必要(※たった1回電話したけどつながらなかった,というのでは,不十分と言わざるを得ません。)であり,そうした連絡体制もあらかじめルールを作って,病院等のスタッフの個別判断のみに頼らないような仕組みを作っておいた方がよいといえるでしょう。

 

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