弁護士 奧野舞のブログ

弁護士法人シティ総合法律事務所(http://www.city-lawoffice.com/)

【医業関連】インフォームドコンセントの考え方①

医療の分野では,「インフォームドコンセント」という言葉が浸透していますが,これは元々は米国から日本に取り入れられた概念です。

 

「説明と同意」という和訳がなされることが多く,意味合いとしては,治療を受ける患者側が正確な情報を与えられた上で合意すること,を意味します。

 

英語の " informed consent "の本来的な意味は,医療の分野に限らず,あらゆる法的契約関係に通用する概念のようです。

 

具体的には,医師が患者に対し,

①どういった治療法が選択肢としてあるのか,

②その治療にはどのようなメリット・デメリットが存在するのか

について正しく説明し,

③患者側に①②について十分理解しもらった上で,どの選択肢を採るのか決めてもらう,

というプロセスを辿ります。

 

多くの場合,患者側はインフォームドコンセントの場面で「私は,医師の十分な説明を受けた上で,同意します(又は拒否します)。」という内容の書面への署名を求められます。(※家族が手術の同意書にサインする場面を思い浮かべて下さい。)

 

この過程を経ることによって,医師の治療行為について患者側が自らの意思で決定をしたことになりますので,その後万が一治療によって望まない結果が生じた場合においても,その責任を全て医師側に問うということが出来ない場合があります。

 

インフォームドコンセントが不十分なまま医師が治療方針を貫いた場合,治療結果によっては「患者側に十分なリスク説明がなかった」として,紛争に発展するおそれがあります。

 

大がかりな手術を行う大病院は勿論のこと,比較的少人数のクリニックにおいても,治療方針ごとのインフォームドコンセントの時間をきちんと設けることは,紛争回避及び経営リスク回避にとって非常に大切です。

 

ただ「説明の機会さえ設ければよい」という話ではなく,基本的に「治療を行うプロと,素人の患者」といった避けられない情報格差がある関係の中で,必要な情報を共有して互いの考えを分かりあうということに重点があります。

 

医業分野にかかわらず弁護士業務もそうですが,当事者間でのコミュニケーションが取れていることで避けられる紛争が,沢山あるように思います。