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弁護士 奧野舞のブログ

弁護士法人シティ総合法律事務所(http://www.city-lawoffice.com/)

【労働】位置づけ不明な手当がついていませんか?

労働基準法37条で定められている「割増賃金」は,下記のような計算式で算出することが出来ます。

 

 ★基本給+★諸手当(ただし法定除外手当を除く。)×時間外労働時間数×割増率

    1ヶ月の平均所定労働時間

 

割増賃金を支払う使用者側からすると,「★」のついている金額が高くなる分だけ,労働者に支払う割増賃金が多くなる仕組みになっています。

 

労働者の皆さんは,ご自身の給与明細を手に取ってみてください。「○○手当」というのがいっぱい付いていないでしょうか。

このうち,上記の計算式の「★諸手当」に含むものがどれくらいあるでしょうか。

 

計算式の中にある「法定除外手当」というのは,その名のとおり,割増賃金の計算から外すことができる手当が,法律で決まっているのです。

 

具体的には,

①家族手当,②通勤手当,③別居手当,④子女教育手当,⑤住宅手当,⑥臨時に支払われた賃金,⑦1ヶ月を超える期間ごとに支払われる賃金,です(労働基準施行規則21条)。

これ以外には,認められていません。

 

「じゃあ既存の手当に,①~⑦と同じ名前を付ければ,割増賃金計算から除外出来るんだ…」と考えてしまいそうですが,それも違います。実質の伴った手当の支給じゃないと,除外できません。

 

例えば,①家族手当なら,「家族の人数に応じて支給するもの」であれば割増賃金計算から除外できますが,人数に関係なく「一律◎万円」というような定めをしている手当は,除外されません。

 

通勤手当も,通勤距離や実質費用に応じた支給であれば除外可能ですが,距離にかかわらず一律支給しているものは,除外されません。

 

⑤住宅手当も,「家賃の一定割合」とか「持家のローン月額の一定割合」が支給されていれば除外できますが,「賃貸住宅の人は2万円・持ち家居住者は1万円」といった支給方法では,除外されません。

 

④子女教育手当については,労働局・労働基準監督署のホームページにも詳しくは書いていませんが,趣旨は従業員の子どもの教育の充実にありますから,例えば,高校・大学に進学中の子どもの人数に応じて支給されるという場合には除外可能となるでしょう。

 

使用者は,従業員に気持ちよく働いてもらうために様々な工夫をします。手当の新設もその1つであるかもしれません。(従業員家族には旅行でも行って家庭円満でいてほしいという気持ちを込めて「レジャー手当」とか,生活習慣病に気を付けてほしいから「健康手当」,とか。)

 

ただし,①~⑦の「法定除外手当」に当たらない位置づけ不明の手当が増えると,結局「諸手当」として割増賃金の算定式に加えなければなりません。

そうなると,万が一従業員から割増賃金を請求されたときに予想以上に割増賃金が膨らんでしまい,使用者が自分の首を絞めてしまうことにもなりかねません。

 

 

私自身,もし今の仕事をしていなかったら,毎月もらう給与明細の各種手当が何を理由にどういう基準で支払われているのか,気にせず一生を終えていたかもしれません(笑)。

 

お給料に手当がいっぱい付いている方は,お暇なときに,どの手当が割増賃金計算から除外されるのか考えてみてもよいかもしれません。

(…相当暇じゃないとやらないでしょうね。)

 

 

 

 

 

 

 

 

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