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弁護士 奧野舞のブログ

弁護士法人シティ総合法律事務所(http://www.city-lawoffice.com/)

【離婚】離婚が可能になる別居期間の目安

夫婦の一方が離婚を望んでいても,もう一方が望まない場合,どうしたら離婚できるのでしょうか。

離婚協議はまとまらず,家庭裁判所で調停をしても,離婚には応じてもらえず,結局調停不成立。

残るは離婚訴訟を提起して,裁判所の判決でもって離婚を認めてもらうしかありません。

 

こうなった場合,「まずは一旦別居して,夫婦関係が破綻している状態を作り出して・・・」,なんていう話を聞かれたことがある方もいるでしょう。

 

では,一体何年別居すれば離婚が認められるのか。

実は明確な基準があるわけではありません。

 

まず,「有責配偶者」(簡単にいうと,不倫や暴力など離婚原因を作った側の配偶者のことを指します。)からどうしても離婚したい,という場合。

 

最高裁が,ある判決(昭和62年9月2日判決)の中で離婚が認められるための一定の基準を示しています。

①長期間の別居

②未成熟子の不存在

③過酷状況の不存在(離婚を求められた側が,経済的に困窮しないかという話)

 

この①が何年くらい必要かは,その夫婦の同居期間が何年で,別居期間がこの内何年かということも考慮されるので,明確に「★★年別居したから,離婚できる」という単純な話でもありません。

 

また,①は②や③と合わせて考えられ,果たしてこの夫婦に離婚を認めてもよいのだろうかと言う観点からの総合考慮になるので,人によっては10年別居していても離婚できるかどうか微妙なケースもあるようです。

 

仙台高等裁判所・平成25年12月26日判決~別居期間9年余りで離婚できず。(同居期間は18年程度)

・福岡高等裁判所・平成16年8月26日判決~別居期間9年あまりで離婚できず。(同居期間は21年)

最高裁判所第一小法廷・平成16年11月18日判決~別居期間2年4か月で離婚できず。(同居期間は6年7か月)

 

実際のところ,有責配偶者から相談を受けた弁護士は,細かく事情を聴き取って,確実に離婚ができそうなタイミングを見計らって訴訟を提起したり,若干不安が残ってでも訴訟に持ち込み,訴訟手続の中で離婚条件を整えて和解をする方向で話を持って行ったりと,ケースごとに何が最善か検討するわけです。

 

では,「有責配偶者」ではない人が離婚を求める場の,別居期間はどの程度必要でしょうか。

 

有責配偶者のケースよりは年数が少なくなるとは思いますが,何か明白な離婚事由に該当しない限りは,3年~5年くらいの期間は別居が必要と考えられます。

 

要は,「夫婦関係が破綻しきっている」といえるのかを,別居の経緯・別居期間中の夫婦の交流状況や,別居期間自体の長さから読み取った上で,裁判官が判断することになります。

もちろん,同居期間の長さや夫婦それぞれの経済状況,未成熟児の有無なども考慮されます。

 

※余談

話は逸れますが,最近某女性誌で,「離婚してかえって良い関係を築くことが出来た元夫婦」を何組か紹介している記事を見かけました。

別れて別居してもなお,ビジネスパートナーだったり,定期的に一緒に趣味のゴルフを楽しんだりするそうです。

なんだか不思議な感じもしますが,これも時代の流れなのかもしれません。

元夫婦それぞれが新しい人生を歩むことを受け容れることが出来て,恨みつらみは一切なし,離婚後も交流することが互いにとって良いと感じられれば,そういう関係も成り立つのかもしれません。

ただ,やっぱり女性の側にもある程度稼ぐ力があるからこそ,成り立ちやすい話なんだろうとは思います。

 

 

 

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